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徹底的に「変えない」リノベーション – 平野屋様のリノベーション事例

京町屋・古民家リノベーション
創業元治元年小林工務店リノベーション事例「平野屋」

築450年の鮎茶屋を改修

小林工務店は古い木造建築を次世代に継承していくため、改修工事やそのための技術習得に積極的に携わっています。

今回ご紹介するのは、京都市右京区鳥居本にある「鮎茶屋 平野屋」の改修事例です。平野屋様は愛宕山の麓に位置し、愛宕神社参道の一の鳥居の傍らで400年以上にわたり鮎問屋を営むかたわら、愛宕神社詣での旅人に名物である志んこ団子を供されてきました。

創業元治元年小林工務店リノベーション事例「平野屋」

メインとなる工事は耐震改修

設計事務所を通して平野屋様から依頼されたのは、主に耐震改修です。

建物は愛宕神社の参道に面していますが、実は斜面に建つ形になっており、斜面の下には小川が流れています。そして、その水を利用して鮎を一時的に泳がせる生簀が設けられています。しかし、川の増水時には建物の基礎部分までが水に浸かり、それは木材に腐朽などの影響を与えていました。また、そもそも昔の建物は現代の基準からすれば基礎の構造が弱いため、経年的な変化により「不陸」(ふろく:建築物の床などが平らでなく、高低差や凹凸がある状態)が生じていました。

創業元治元年小林工務店リノベーション事例「平野屋」

改修策としては、まずコンクリートで基礎を打ち柱の足元を固めるとともに、川の増水時にも基礎が水に浸からないような工夫を施しました。さらに、柱などの傷んだ部分を交換したり耐力壁を追加した上で、建物全体の歪みを直して行くことに。その歪を修正するための「揚げ舞い」(建物が傾いた際に、ジャッキなどを使って基礎から建物を持ち上げ、水平を出す作業。「舞あげ」とも呼ばれます)や「歪み突き」(いがみつき:傾いた柱の上部をジャッキなどで「突いて(押し上げて)」垂直に直す、家の傾きを修正する作業)の必要がありました。

工事に大きな重機は使わず、主に人力とジャッキで建物の歪みを直していきました。このような工事ができるのは、長年にわたり木造住宅の新築や改修を手掛けてきた熟練の大工がいてこそです。しかし、近年は大工のなり手が少なくなり、このような技術の継承が小林工務店だけでなく、業界全体の課題となっています。

創業元治元年小林工務店リノベーション事例「平野屋」

傷んだ土壁なども補修

改修は内装にも及びました。長年の出入りにより摩滅した「上がり框(かまち)」は、その味わいを残しながらもこれ以上の摩滅を抑えるために樹脂を含浸させ強度を持たせました。また、建物の歪みを直すことは、建物全体を変形させることになります。この力により、内装の土壁が剥がれ落ちることになります。その補修においては、経年変化を重ねてきたこれまでの色合いにするため、京都で文化財の修復や寺院内装の再生を手掛ける株式会社さわの道玄の技術も借りることになりました。

さらに、客室の一部には掘りごたつ式のテーブル席を設けるなど、お客様により快適に過ごしていただけるようにしました。

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2年目は屋根の葺き替えと調理場の改修も

耐震改修は12月から翌3月にかけて行いました。鮎料理や愛宕神社詣で、さらに紅葉狩りを楽しみに春から秋にかけて愛宕山を訪れる平野屋様のお客様にご迷惑をかけないようにするためです。耐震改修をする中で傷んだ屋根も吹き替えが必要なこともわかりましたが、紅葉のシーズンが終了するまでは工事を一旦休止し、その年の12月から翌3月まで屋根の吹き替えと調理場の改修を行いました。工事は2014年の年末にはじまり、2016年の3月末に終了する2年がかりのものでした。

創業元治元年小林工務店リノベーション事例「平野屋」

450年守ってきた佇まいをこれからも

耐震改修においては、できるだけこれまでの佇まいを変えないことが基本でした。そのため、基礎を打つにもお客様からは見えないような工夫をし、また傷んだ箇所の修繕にも、できるだけ新しい材料が目立たないようにしました。
このようにして、平野谷様は見た目は以前と変わらぬまま建物全体の傾きは改善し、また耐震性能が向上したものに生まれ変わりました。

小林工務店は、耐震性能向上や断熱性能向上のために、積極的に新しい技術を取り入れ知識もスキルもバージョンアップしていくことをモットーとしています。その反面、変えてはいけないものをどのように守り継承していくかについても、また積極的に学ぶようにしています。

変えていくべきもの、守っていくもの、それぞれに対して柔軟に取り組めるよう、これからも研鑽を積んでいきたいと考えています。

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