耐震等級を正しく理解して安全なすまいづくりを
小林工務店は耐震等級3が標準性能
建築物の地震に対する強さを示す指標に「耐震等級」というものがあります。等級は3段階あり、建築基準法で定められたギリギリの耐震性能を満たすものが「等級1」です。そして、等級1の1.25倍の強さがあるものを「等級2」、同じく1.5倍の強さがあるものが最高等級の「等級3」となります。
耐震等級は、平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の中で定められました。この法律は、消費者が安心して良質な住宅を手に入れられる住宅市場を形成するためのもので、住宅を建築する際には「等級1」以上の強さにすることが決められています。
したがって、「等級1」を基準に住宅を建てても法的には問題はありません。実際に、この基準で建てられた住宅は数多くあります。しかし、私たち小林工務店は、「等級3」を自社の標準性能と決め、設計を行っています。
耐震等級3にする理由
小林工務店が耐震等級3を自社の標準性能とする理由は、平成28年に発生した熊本地震の被害調査において、等級3を基準に建てられた住宅の被害が明らかに軽微であったためです。
熊本地震は、震度7の揺れが立て続けに2度も観測された地域があったことが特徴です。1度目の揺れには耐えたが2度目の揺れで倒壊した住宅も多数あった中、等級3で建てられた住宅では倒壊や全壊、大規模半壊したものはなく、87.5%の住宅が無被害、残りの住宅も軽微な損傷や小破のみでした。
等級1も、「熊本地震クラスの揺れでも倒壊や全壊はしない」基準とされています。しかし、裏を返せば大規模半壊など一定の被害は許容することを示しているわけで、その被害程度は「不明」とも受け取れます。当社としては被災後の生活を考えると、このような基準ですまいづくりをするわけにはいかないのです。
実は2種類ある「耐震等級3」
さて、熊本地震クラスが発生しても安心と言われる耐震等級3ですが、これを評価する計算方法は2種類あります。ひとつは「品確法による性能表示計算」、もうひとつは「許容応力度計算などによる構造計算」です。どちらの方法で計算しても耐震等級3を名乗ることはできます。しかし、性能表示計算では建物の荷重のとり方に概算の部分があるのに対し、構造計算ではかなり厳密に荷重を計算するという違いがあります。そのため、建物によっては「性能表示計算では耐震等級3だったのに、構造計算をしてみたら耐震等級2にも満たなかった」ということが起こります。
本来は、構造計算を用いて厳密に耐震等級3であることを証明すべきです。しかし、戸建て住宅で構造計算を行う工務店はほとんど無いのが実情です。理由は「難しく、また手間とコストがかかるから」です。
しかし、それはあくまでも工務店の都合。建築主の安全を真剣に考えるのであれば、手間はかかっても構造計算をすべきだと考えます。そのため、小林工務店では自社もしくは提携建築事務所などにて、実施設計段階に許容応力度計算を行い耐震等級3の証明をしています。自社で行う場合は、株式会社インテグラルの住宅性能診断士「ホームズ君」というソフトウェアを使用して、お客様が希望される間取りと、構造的に安定する間取りを擦り合わせます。
見学会の際には耐震等級と計算方法を質問してみる
以上のように、すまいの安全性を大きく左右するのが耐震等級であり、またその計算方法にも複数の種類があることがお分かりいただけたかと思います(耐震等級1に限れば、「仕様規定」という簡易な計算方法もあります)。ただし、性能表示計算も構造計算も、作業量は異なるものの手間やコストがかかるのは事実です。
そのため、中にはその手間を省き、壁量を増やしただけで「耐震等級3“相当”」とうたっている住宅もあるようですが、これはあくまでも住宅会社の社内基準によるものであって、第三者機関による評価や検査に合格したものではないと考えてください。
もし、地震がきても安全で安心なすまいづくりをお考えであれば、「耐震等級は3ですか?」、「構造計算はしていますか?」、「第三者機関の評価を受けていますか?」この3つの質問に対してはっきりした回答のできる会社をパートナーに選ばれることをおすすめします。