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地震に強い家づくりは地盤調査から

地盤調査が義務化されたのは平成12年

令和3年10月8日に、南丹市の現場にて地鎮祭を行いました。地鎮祭とは、建物の新築や土木工事の起工に先立って行う神事です。その土地の産土神(うぶすなのかみ)を祀り、工事の無事と土地や建造物が末永く安全で堅固であることを祈願します。

この地鎮祭に先立って行う作業が「地盤調査」です。これは、地盤がどの程度の建物の重さに耐え、沈下に抵抗する力(地耐力という)をもっているか、さらに、地震が発生した際の地盤の揺れやすさなどについて、着工前に調べることです。

地盤調査を地鎮祭の前に行う理由は、建物の耐震性能を算出する「許容応力度計算」をおこなうにあたり、建物の足元である地盤の許容応力度(外からの力に対してどのくらい耐えられるか)もわかっておく必要があるためです。もし、調査で許容応力度が基準に満たないと判断した場合は、建築主に説明の上で地盤改良をおこないます。地盤調査は地震や台風などに強く、世代を超えて住み継げる家づくりの第一歩といえます。

このような地盤調査ですが、建築基準法で義務化されたのは2000年(平成12年)。近畿圏の広域に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災後の実に15年後です。それまでは任意による調査であったことは、今となっては驚きです。

さて、地盤調査の方法はいくつかあり、建物の規模や敷地条件によってそれらを使い分けます。小林工務店では、木造住宅の建設においては一般的に用いられるSWS試験(スクリューウエイト貫入試験)を採用しています。

小林工務店ではSWS試験が基本

SWS試験は、戸建住宅の地盤調査方法として最も一般的な方法です。今回の地鎮祭を行った現場もこの方法で調査をおこないました。

2020年10月26日付でJISの改正により、名称が「スウェーデン式サウンディング試験」から「スクリューウエイト貫入試験」と変更されましたが、旧名称にあるように、スウェーデン発祥の調査方法です。地盤に鋼製の錐状の棒(コーン)を垂直に突き刺し回転させながら、コーンの沈みの具合から地盤の状態や閉まり具合を判定します。一般的には、建物が建つ敷地の四隅と中央1ヶ所の、合計5ヶ所を調査します。

長所としては、半日ほどで調査が完了し、費用も他の調査方法と比べて安価と言えます。その一方、地耐力は判定できますが、土質の判定はあくまでも推定となってしまう短所があります。

常時微動探査法をオプションで

SWS試験は住宅の重さに地盤が耐えられるかどうかを知ることはできますが、地震の発生時の地盤が揺れやすさを調査することはできません。これを補うのが当社ではオプションとして設定した「常時微動探査法」です。常時微動探査法は、風や波浪、交通機関や工場の機械などによって常時生じている地盤の振動を観測します。観測結果から、その土地がもつ揺れの周期の中で最も大きな揺れや増幅特性を推定することで基礎の選定をおこない、地震による建物被害を軽減させます。

常時微動探査法は比較的あたらしい調査方法ですが、地震時の建物被害の軽減につながる有用な調査として、これから普及していくと思われます。

精度の高い地盤調査が安全と安心を招く

小林工務店では、地盤の特性を把握するため、通常はSWS試験を地盤調査方法として採用して、地盤の補強方法の検討をおこないます。さらに、希望により常時微動探査法をおこなうことで、地震発生時の地盤の揺れ方に応じた基礎や建物構造の検討を行います。いったん建物が建ってしまうと、地盤の改良を行うことはできません。調査精度の高い地盤調査と、それにもとづく確実な地盤改良や建物構造などの設計は、地震に強い家づくりの絶対的な条件と言えるでしょう。

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