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住まいの快適性は科学的にアプローチする

快適性イメージ

住宅の「快適性」を決定する要因は、「感覚的要因」と「物理的要因」とに大きく分けることができます。感覚的要因とは、広さや色彩、明るさ、質感、窓からの眺めなど、視覚によるものが主です。それに対して、物理的要因とは、温度や湿度、空気の質など、体全体で感じるものです。

私たちは、感覚的な快適さに対しては設計やデザインによって快適さを求めていきます。一方で、物理的な快適さに対しては、「住宅の性能」を数値化し、それによって実現できる室内環境をシミュレーションすることで、実証していきます。

前述したとおり、快適さを決定する物理的な主な要因は、温度や湿度、空気の質であり、これらは住宅の性能によってコントロールすることが可能です。

温度をコントロールする住宅の性能

室内にいて人が感じる温度には「気温」と「放射熱」があります。気温とは、その名のとおり空気の温度です。放射熱とは、壁や床、窓から電磁波として伝わる熱です。放射熱は熱いものから冷たいものへと伝わる性質があります。太陽の陽射しがあたたかいのも、太陽という熱いものから人体という冷たいものへ電磁波が伝わってくるからです。

つまり、温度をコントロールするとは、気温と放射熱の両方をコントロールすることになります。

気温をコントロールする方法

気温をコントロールするには、季節に応じた空調機器を利用します。機器は、湿度や空気室など、他の要因との関連性も含めて選択するようにします。

放射熱をコントロールする方法

夏に屋根や壁が日射によって熱くなり、それが室内にまで伝わると、人体にもその熱が伝わり暑く感じます。逆に冬に壁や床が冷えると、体の熱が奪われ寒く感じます。つまり、外の暑さや寒さが室内まで伝わると快適さを損なうことになります。

これを避けるのが「断熱」です。断熱性能を高めることで、室内の熱の出入りを抑えることができるのです。

放射熱をコントロールするもうひとつの性能が「日射の制御」です。暑い夏は、太陽の光をできるだけ遮り(日射遮蔽)、冬はポカポカとした陽光を室内に取り入れる(日射取得)、それぞれの制御を行う性能です。

湿度をコントロールする方法

同じ室温27度でも、湿度が50%の部屋はカラッと涼しさを感じますが、湿度が90%の部屋では、ジメジメした不快感を感じます。これは発汗の蒸発による体温調整が、うまくできるかできないかの違いです。湿度が低いと体温調整が容易なので、快適に感じます。

一般的には、室内の湿度50〜60%に保つのが快適とされています。これは、人が快適に感じるか否かもありますが、湿度が70%を超えるとウイルスやカビ、ダニが繁殖しやすい環境になるからです。また、湿度30%以下もまたウイルスが繁殖しやすく、呼吸疾患の起こりやすい環境のため、好ましいといえません。

湿度の調整は、木材や珪藻土の壁が多少は調湿するとはいえ、やはり空調機器によってコントロールするのがメインです。夏はエアコンによって湿度を抑え、乾燥する冬は加湿器によって湿度を補うことになります。

空気の環境をコントロールする方法

ここでいう空気の環境とは、空気中の二酸化炭素や一酸化炭素の量と清潔さです。呼吸や燃焼によって発生した二酸化炭素や一酸化炭素の濃度が高まると人は不快に感じます。また、空気中に粉塵や細菌、揮発性ガスが混ざると健康を損なうことになります。

このようなことを避け、常に良質な空気環境であるためにも、汚れた空気を排出し、きれいな空気を給気する換気(空調)機器の性能が重要になってきます。

また、計画された換気をしっかり行うには、住宅の気密性能が大きく関わってきます。住宅が隙間だらけでは十分な換気が行えず、よどんだ空気が滞留するためです。

「断熱」「気密」「日射制御」「空調」で快適さをコントロール

以上のように、快適さを決定する主な物理的要因は、温度や湿度、空気の質であり、これらを住宅の性能によってコントロールするには、「断熱」「気密」「日射制御」「空調」の性能が大きく関わってきます。

私たちは、それぞれの住宅の快適さを目標数値化し、それを実現するために適した「断熱」「気密」「日射制御」「空調」の性能を割り出すことによってコントロールしていきます。

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