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新しい暮らし方を提案するモデルハウスが完成

■南丹市日吉町のモデルハウスが完成

昨年の10月に着工した南丹市日吉町の住宅が完成間近となりました。南丹市内を流れる桂川沿いに立地し、川のせせらぎの聞こえる緑豊かな立地環境です。世界的な電子部品不足に起因した住宅設備や照明の納品遅れの影響もあり、通常の倍近くの工期がかかりましたが、この7月末に完成し、見学会を開催する予定です。

現時点での様子を360°カメラで撮影した画像を見ることができます。下記のリンクをクリックしてください。
モデルハウスリビング360°カメラ画像

そして、この住宅は、「新しい暮らし方を提案する高性能住宅」というコンセプトのもと建てられたものです。

■新しい暮らし方とは?

「新しい暮らし方」とは、ICT(インターネット・コミュニケーション技術)により可能となり、新型コロナウイルス感染症対策として一気に普及した在宅勤務などのテレワークや、田舎でのものづくりなど、多くの企業の所在する都市部に物理的に縛り付けられない暮らし方です。

豊かな自然に囲まれた静かな環境で仕事やものづくりに専念でき、また、通勤などで消費する時間などをなくすなどで、一日をより有意義に過ごすことを考えた暮らし方です。

このような流れは社会全体で一般化しつつあります。この6月もNTTが国内の主要グループ会社の従業員3万人を対象に、来月からは「原則在宅勤務」にすると打ち出したばかりです。さらに今後も、この流れに追随する企業が現れてくると考えられます。

■南丹市で暮らすテレワークのリアリティは?

確かに、満員の通勤電車に揺られず、また自然に囲まれた落ち着いた環境で仕事ができるのは理想的と言えます。しかし、ほんとうに現実性はあるでしょうか。検証してみましょう。

ずっとテレワークで勤務が可能であれば、日本のどこにいても(あるいは海外にいても)勤務は可能といえます。しかし、実際にはテレワークをベースとしながら、必要に応じて週に何度かは出社する「ハイブリッド型」がほとんどの企業にフィットする働き方ではないでしょうか。

そのような点からすると、オフィスに出社する利便性もある程度は考えておかなければなりません。今回の南丹市日吉町の場合、仮に京都市中京区にオフィスがあるとすると、自動車では京都縦貫道を利用すれば56分で到着することが可能です。また、電車でも、最寄りのJR「日吉」駅から京都市営地下鉄「四条」駅まで1時間2分で到着することができます。十分に現実的な所要時間と言えるでしょう。

■土地的にもメリットがある

もうひとつリアリティのあるお話をしましょう。「土地」のお話です。京都市内ですまいづくりをしようとして最初にぶつかるのが土地の問題です。まず、なかなか好条件の土地が見つからない、また見つかったとしてもびっくりするような価格。なんとか購入できたとしても、いわゆる狭小地で、また三方が隣家で塞がっている。よくある話です。

その点、郊外であれば土地の選択肢はぐっと広がります。また、隣家がギリギリまで迫った質地は逆に少ないので、理想的なパッシブデザインのすまいづくりが可能です。明るく開放的なすまいづくりが郊外であれば最も簡単に実現できるのです。また、土地の取得費も、京都市内に比べればかなり抑えられるのも想像できるかと思います。

■在宅時間が長いので、すまいの性能には拘りたい

テレワークのためのすまいは、いかにあるべきでしょうか? 地震や台風に対する強さや、大規模な改修を行わなくても住み続けることができる耐久性はあって当然といえるでしょう。その上で必要となってくるのが、居住の快適性と省エネルギー性能です。

ずっと家に居続けるわけですから、居心地が悪くてはたまったものではありません。そのため、断熱・気密性能を高めることにより、冬の寒さや夏の暑さを室内に入れないようにしています(具体的な断熱・気密性能については、こちらのブログをご覧ください)。

また、床の一部を無垢材のフローリングにしたり、収納棚、TVボード、ダイニングテーブル、ベンチを造作家具にするなど、室内の木の質感の比率を高めています。さらに、以前のブログでご紹介した自然素材から作られた塗り壁材「深呼吸」で壁面の一部を仕上げることで、調湿や脱臭効果を高めています。

省エネルギー性能については、南に面した片流れ屋根の全面を使って15.1kwhの太陽光発電パネルを搭載することで年間の一次エネルギー消費量がマイナスとなる、いわゆるゼロ・エネルギー住宅(ZEH)となっています。

このように、在宅時間が長いからこそ、テレワークのすまいは居住の快適性や暮らしに必要なエネルギー消費を、よりシビアに検討する必要があると小林工務店では考えています。

■これからの職と住の関係性からすまいづくりを再構築する

これまでは、職場への通勤にかかる時間や利便性からすまいづくりの場所を決めざるを得ませんでした。しかし、そのタガが外れると可能性は一気に拡がります。

今回、私たちが提案した「新しい暮らし方」は、自然に恵まれた郊外で生活しながらテレワークを行い、週に何度かは出社する、そんなワークスタイル像に対しての提案です。それ以外にも、子育て環境の充実した地域に暮らしながら、あるいは、地元に暮らす親の介護をしながら、はたまた地方の大学で学びながらテレワークする、などといったことも考えられます。

なかでも、日本の伝統的な文化が集積する京都の暮らしに浸りながらテレワークをというニーズは少なくないと感じています。実際に、東京の企業が京都の町家をリノベーションしてサテライトオフィスを開設。関西出身の学生が東京に移住することなく、東京の企業に在籍する事例も生まれつつあります。

このように、社会が求める職と住との関係性は、いま大きな変化に差し掛かろうとしています。一方で、終身雇用制から人材の流動化へと働き方が変わるに伴い、人生設計やライフスタイルも変わってくることが考えられます。たとえば、持ち家を建てて定住するスタイルから、仕事や働き方に応じて住み替えを行っていくのが普通になるかもしれません。小林工務店としては、建築部と不動産部が力を合わせることにより、このようなニーズにも対応していけることを、これからの目標としています。

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