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私たちが京都府産材を利用する理由

私たち小林工務店は、すまいづくりにおいて、可能な限り京都府産の木材を利用することにしています。また、お客様へのご提案もしています。それにはいくつかの理由があります。

■京都府産材を用いる理由(1)地域林業の再興

まず、地域の林業の再興です。木造住宅は、長きにわたり国内で産出される木材を利用して建築されてきました。しかし、昭和の高度成長期に住宅需要が増大し、その需要をまかなうべく海外からの木材輸入がはじまり、さらに昭和39年には全面自由化となりました。これにより、安価で大量の輸入材が市場に出回るようになり、国産材の需要は低下し林業は衰退産業となりました。

しかし、これによって問題が発生します。林業の衰退とともに林業に従事する人も減ったことで、十分に手入れがされず荒廃した森林が目立つようになりました。このような荒れた森林はひとたび台風や大雨に見舞われると、保水力に劣るなどの理由から土砂災害の要因となります。人命や財産を脅かす存在になるのです。

このような負のスパイラルを止めるためには、私たちのように建築に携わるものが、積極的に地域産材(国産材)を利用することです。それにより、収穫期を迎えた森林を材木として切り出し、新しい木が植えられ、そして手入れがされるというサイクルが再興すると考えます。

また、京都府の森林面積は34万2470ヘクタールで、総土地面積に占める森林の割合は74.3%と全国平均の66.4%を上回っています。また、民有林の割合が97.8%と、全国平均の69.4%に比べて高くなっているのも特徴です。(令和3年4月京都府調べ)。京都の林業が活性化することは、地域経済にとってもプラスになると考えています。

■京都府産材を用いる理由(2)地球温暖化防止への貢献

ふたつめの理由は、地球温暖化防止への貢献という、企業コンプライアンスの視点からです。

1世帯から1年間に排出される二酸化炭素の量は、およそ4.5トンと言われます。この二酸化炭素は、スギの森林およそ0.5ヘクタール分、本数にして約500本のスギが吸収する量と同じです。そして、スギによって吸収された二酸化炭素は、光合成によって酸素になります。

しかし、樹木が吸収する二酸化炭素量は樹齢が10~30年の頃にピークを迎え、その後老齢になるとほとんど0に近くなってしまいます。安定した二酸化炭素吸収量を保つためには老齢になる前に伐採し、植林を行い、新たに木を育てていくことが重要になります。そのためにも、大きく育ったスギは伐採して材木に加工し、若い木を植林するサイクルを定着させる必要があるのです。

■京都府産材を用いる理由(3)安定した木材の供給

先にも言いましたが、日本の建築は輸入木材に頼っている部分がかなりあります。令和2年のデータになりますが、柱やはりなどに使われる製材と、壁などに使われる合板を合計すると、およそ50%は輸入材に依存しています。

しかし、令和2年の半ばごろからアメリカや中国での木材需要の高まりに伴い、木材価格が急上昇しました。また、価格が上がっただけでなく、日本への輸入量が激減するという事態も発生しました。新聞などでときどき報じられる「ウッドショック」という現象です。

これにより、製材業や建築業では価格の見直しを迫られ、また、材木の供給が止まることにより、建築スケジュールの見直しを行わざるをえない事態も発生しました。このウッドショックは令和4年3月現在もまだ継続状態にあり、さらに、世界経済や国際関係の不安定な状況から、今後、令和2年以前の価格に戻るということは考えづらいと考えられます。

このような状況の中で、お約束した価格とスケジュールですまいづくりをするためには、不安定な輸入材への依存を減らし、国産材を安定して入手する方へ舵を切るべきと考えたのが、京都府産材を用いる3つ目の理由です。

■京都府産材を使うと建築費が高くなる?

「しかし、志は高くても、建築費が高くなるようでは、すまいづくりを依頼しづらい」というのが、お客様の正直な感想ではないでしょうか。しかし、ご安心ください。現在は、国産材と輸入材の価格差はほとんどなく、実際、大手ハウスメーカーでも輸入材から国産材へシフトするところが出始めています。

さらに、京都府産材を使うと、京都府の支援事業「ひろがる京の木整備事業(建物型)」を利用することができます。これは、住宅などの新築、増改築、修繕、内装工事において、京都府産木材を利用した建築物の木造化や木質化を支援する制度で、「京都の木証明書」が発行された木材であれば木材購入価格の10%以内、さらに「ウッドマイレージCO2京都の木認定書」が発行された木材であれば、同じく15%以内が助成される制度です。ちなみに、京都府産材は、国産材の中で、ほぼ平均的な価格ですので、他地域の国産材を使うより、京都府産を使う方がお得と言えます。

■助成制度について詳しくは小林工務店まで

京都府産木材を使うことで、地球にもお財布にも優しい家づくりができる「ひろがる京の木整備事業(建物型)」ですが、令和3年度に引き続き令和4年度も申請が可能です。交付申請は令和4年4月1日から始まります。

また、どれくらいの京都府産材を使用するか、建物のどこに使用するかは様々です。弊社では、現在、南丹市で施工中の建物において、外壁に貼っている杉板が京都府産木材の認証を受けております。

支援施策への交付申請についてはいくつかのルールがありますが、利用すれば確実にお得になる制度です。詳しくは当社までお問合せください。

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