木造住宅の天敵であるシロアリへの対策
シロアリ被害は意外と多い
前回のブログでは、木造住宅を劣化させる原因のうち、「水」と「湿気」について劣化のプロセスと対策について紹介しました。今回は、劣化の3つ目の大きな要因である「シロアリ」について対策などをご紹介したいと思います。
平成25年に国土交通省の補助事業として行われた「シロアリ被害実態調査報告書」によれば、築年数ごとで調べたシロアリ被害の確率は以下のようになります。
- 築10年未満の建物では被害確率は5%台
- 10年を越えてくると10%
- 20年~30年では20%~30%前後
つまり、築20年を超えた木造住宅では、5棟に1棟がシロアリの被害にあっているということになります。日常生活でシロアリを目にすることがないこともあり、意外に高い確率だと 感じます。
新築だから安全とは言えない
では、築年数が浅かったり、新築の住宅であれば、シロアリの被害を考えなくても大丈夫かというと、そうとは限りません。シロアリが繁殖するのに適した環境であれば、築年数はさほど関係はありません。それよりも、シロアリが好む環境を作らないことと、薬剤などによる防蟻対策をおこなうことが大切です。
シロアリが好む環境は以下の通りです。
- 木材や畳、段ボールなどエサとなるものがあること
- 適度な温度があること(ヤマトシロアリは12~30°C、イエシロアリは17〜32°C)
- 高い湿度に保たれ、水があること
ただし、「ウチの床下は通気が良く乾燥しているから大丈夫」と思うのは禁物。シロアリは「蟻道(ぎどう)」という土のトンネルを作りながら移動していきます。蟻道はシロアリが水を運ぶ経路でもあり、中は適度な湿度に保たれています。つまり、床下が乾燥していても、蟻道を作られてしまったら終わりなのです。また、最近の住宅は、高気密高断熱で一年を通して快適な温度環境に保たれていますが、これはシロアリにとっても快適な環境であるといわれています。
このように、家の風通しを良くしたり、シロアリの生息場所や進入経路になりそうなものを家の周りにつくらないなど、物理的に対策を行っても100%安心とは言えません。そのため、より万全を期すためには、薬剤によるシロアリ被害の予防が必要となってきます。
長期優良住宅で求められる防蟻対策
前回のブログで、木造住宅で長期優良住宅認定を受けるためには、「劣化対策等級3相当」の対策が必要とお伝えしましたが、この劣化対策等級3を実現する場合の基準のひとつに、「軸組すべてのK3の防腐・防蟻処理」という項目が含まれます。
K3とは改正されたJASの規格で設けられた性能区分のひとつです。以前は「防腐・防蟻1種処理」「防腐・防蟻2種処理」「防腐3種処理」「防虫処理」と区分されていた処理方法が、薬剤ごとの吸収量や浸潤度の適合基準により、それぞれ「防虫処理」が「K1」に、防虫処理以外の処理区分は「K2~K5」の計5段階に再区分されています。この中でK3は、以前の「防腐・防蟻2種処理」に該当するものであり、その性能は「通常の腐朽・蟻害の恐れのある条件下で高度の耐久性の期待できるもの」とされ、使用する薬剤ごとに木材への吸収量基準が示されています。
シロアリの駆除や被害を防ぐための防除施工の方法にはさまざまな方法があります。ただし、住宅に対して使用されるものですから、シロアリには効果がある反面、人体に与える影響がどうなのかは気になるところです。小林工務店では、
無臭かつ揮発しないホウ酸の防蟻剤や、シロアリの食べ物をなくすために防腐防蟻処理が施された木材を使用しています。
「シロアリ点検」は5年に1度が目安
前述のような防蟻施工を行ったとしても、時間が経つと次第に防蟻処理剤の効果が薄れてきます。その効果が持続するのは、およそ5年と言われています。そのため、シロアリの被害を予防するためには、床下の腐朽や水漏れなどチェックを兼ねた5年ごとの定期点検とともに、防蟻施工をやり直すことが望ましいといえます。
小林工務店でもお引き渡しから、1カ月・6か月・1年・2年・5年・8年・10年(長期優良住宅認定を受けた方は30年目にも)のタイミングで定期点検を行い、建物の安全を確認しています。
さらに、施工段階で以下の図のような対策も行っています。
このように、築20年を超えた木造住宅の5棟に1棟がシロアリの被害にあっているという事実をもとに、当社としてはシロアリに対して万全の対策をご提案していきたいと考えています。