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「相続」が「争族」にならないために ~遺言書のすゝめ~

みなさんは、「遺言書」をご覧になられたことはありますか?「映画やテレビドラマでは見たことはあるけれど、実物を見たことはない」という方が多いのではないでしょうか。でも実は、遺言書は相続トラブルを起こさないために重要な手段の一つなのです。今回は、遺言書の基本的な知識についてご紹介させていただきます。

なお、この内容は、今年5月に当社で開催した、『LIXIL不動産ショップオーナーアカデミー2022/不動産オーナーが知って得をする “失敗事例”から学ぶ相続相談』 3回講座の内の第1回目「子供を幸せにする遺言書」の内容からの抜粋となっています。ご参加いただいた方からは、「遺言書をより身近なものとして捉えられるようになった。」「他人ごとではない、相続対策の重要な手段としての認識が高まった。」といったご感想を頂戴するなど、おかげさまで好評のうちに終えることができました。また、ご両親とご子息夫婦がご一緒に参加されたことで、遺言書の重要性を改めて実感され、本格的に相続相談を始められたお客様もいらっしゃいます。
「LIXIL不動産ショップオーナーアカデミー」は、不動産や資産管理について正しい知識を身につけていただくことを目的に、当社の会議室を使って定期的に開催している勉強会です。(オンラインでのご参加も可能。)参加費用は無料、また、営業活動などはいっさい行いませんので、ひとりでも多くの方にご参加いただき、不動産や資産についての知識を深めていただければうれしいと考えております。

遺言書とは?

話を遺言書に戻しましょう。「遺言」は一般的に「ゆいごん」(法律では“いごん”)と言われ、死後に残る自分の財産を誰にどうやって分配するか、子供の認知はどうするのか等について、生前に行う意思表示であり、それを記載し、法的効力を持たせた文書が「遺言書」です。これについては、ほとんど方がご存じのことかと思います。
とはいえ、「遺言書を書くほどの遺産は我が家にはないから…。」「うちの家族は仲がいいから遺言書なんてなくても大丈夫。」「年齢的にもまだまだ先の話。今は必要ないかな。」と、多くの方があまり気にしたことがない、縁遠いもの、というお考えをお持ちなのではないでしょうか。
しかし、遺産相続をめぐるトラブルは長期的に見れば年々右肩上がりで増え続けており、しかも遺産相続トラブルのおよそ3分の1が1000万円以下の家で起きていると言う結果も出ているそうですから、「私には関係ないもの」と安易に決めつけてしまうのは得策でないのかもしれません。

「争族」はもはや他人事ではない!? 相続トラブルは意外と身近で起こっている。

下のグラフは、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の件数を棒グラフで表したものです。新受件数(審判+調停)は年々増加傾向にあり、平成10年におよそ1万件だったのが、平成30年には年間1万5千件以上と、20年間で5割以上も増えていることが分かります。

< 裁判所/「家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等」より >

また、平成27年度の司法統計(下の図参照)によると、遺産分割事件のうち遺産の価格別調停成立件数の内訳は、「1000 万円以下」の案件が32・1%、「5000 万円以下」の案件は43・8%となっています。つまり、実際の遺産分割のトラブルの約75%(=4分の3)が「5000 万円以下」の案件ということになります。これらの統計から、遺産の相続問題は、富裕層ではなく、むしろ一般家庭だからこそ起こるトラブルであるといえるのではないでしょうか。

< 出典:平成27年司法統計年報より >

しかしなぜ遺産額が少ないほうが遺産分割でトラブルになりやすいのでしょうか?
その要因の一つとして“遺産財産の構成比”が挙げられます。
国税庁の相続時種類別取得財産価額(平成27年度)によると、遺産財産の構成比は、
土地38.0%、現金・預貯金等30.7%、有価証券14.9%の順となっており、分けやすい現金・預貯金に比べて、分割しにくい土地の割合が一番多いことが分かります。そのため、例えば親が残した遺産の大半は実家だけで、兄弟の一部が同居していた場合などは分割しにくいため、トラブルにつながり易くなります。
また、遺産価格が多くて相続税の対象になる方は、金融機関や住宅会社、専門家などからの案内で事前対策しているケースも多いようですが、関係ないと思っている人ほど事前対策は取っていないため、いざその時になって初めて問題が浮き彫りになるのではないでしょうか。

遺産分割トラブルを防ぐための3つの事前対策

人の死はいつ来るかわからないものです。だからこそ、まずは現状把握をし、相続税が掛かるか掛からないかにかかわらず、相続対策をしっかりしておくことが必要ではないでしょうか。
では事前にどんな対策を取っておけば良いのでしょうか?
主に次の3つの事前対策が挙げられます。

  1. 遺言書作成
  2. 納税対策
  3. 節税対策

このうち、相続財産の大小に関係なくすぐにでもできるのは、1.の遺言書作成です。誰が何を受け取るのか、遺産分割を明確にしておくためには、遺言書の作成が効果的です。相続人の誰に何をどの割合で相続させるのかを決めることで、遺産分割協議も不要となりますし、相続人同士が揉めることは確実に減ります。
そして、相続税の対象になる可能性がある場合には、2.の納税対策として、どのようにして相続税を支払うのか(現金の一括納付が原則ですが、延納や物納などもあるので、どの方法をとるのがいいのか)といったことや、3.の節税対策として、相続税を下げることができる様々な手段(生前贈与、生命保険、信託、不動産活用、小規模宅地の特例、養子縁組など)の中からどれを選択すべきかといったことを、専門家の方と相談しながら早めの対策をしていきましょう。

遺言書が必要な人はどんな人?

それでは、どのような人が遺言書の作成が必要なのでしょうか。
以下に、特に遺言書の必要性が高い事例を挙げましたので、ご自分が遺言書の必要な人に当てはまるのかどうか、是非チェックしてみてください。
一つでも当てはまれば、遺言書を作っておきましょう。

残された配偶者が一人暮らしになる人遺された配偶者の今後の生活を考えた時に、頼りになるのはやはり「遺産」です。遺産を法定相続分で分けたと仮定した時に、少しでも今後の生活に不安が残る人は遺言書を作っておきましょう。
特定の相続人に財産を多めに遺してあげたい人生前自分によくしてくれた人や、自分の死後の配偶者の面倒を見てくれる相続人に、他の相続人よりも多くの財産をあげたいと思っている人は遺言書を作っておきましょう。
特定の相続人に財産を渡したくない人何らかの事情により、特定の相続人に対して財産を渡したくないと思っている人は遺言書を作っておきましょう。  ※ただし、その特定の相続人には遺留分(=一定の範囲の相続人に認められている、法律により最低限保証された相続分)がありますので、遺留分請求があることは念頭に置いてください。
事業を子供にきちんと継承させたい人事業を行っている場合、事業主が亡くなれば直ちに事業の継承者を決めて新たな体制を作らなければなりません。株式を複数の相続人が相続した場合、それぞれの相続人が株主として事業に対して発言権を持つことになり、事業の円滑な運営に支障をきたすことがありますので、事業を行っている人は遺言書を作っておきましょう。
財産の多くが自宅(不動産)等分けられない人不動産は売却してお金に換えない限り、自由に分けることができません。そして、売却すれば住む家を失ってしまいます。財産の多くを不動産が占める人は遺言書を作っておきましょう。
相続人同士の仲が良くない人「争族」は遺産分割協議がまとまらないために起こります。そして、一度「争族」が起これば、円満な解決はほとんど期待できません。親と子もしくは子供同士の仲が良くない場合は遺言書を作っておきましょう。
前婚の子供がいる人子供がいる夫婦が離婚すると、子供は母親の籍に入って母親の元で養育されることが多く、次第に父親との距離ができていきます。そんな父親が再婚したのちに亡くなった場合、相続人は再婚した妻と前妻の子供になり、相続関係が複雑になりますので、遺言書を作っておきましょう。
子供がいない人子供がいない場合、相続人は配偶者と被相続人の親もしくは被相続人の兄弟姉妹となり、関係性が複雑になるため、子供がいない人は遺言書を作っておきましょう。
相続人以外に財産を渡したい人、施設や団体に寄付したい人遺言書が無ければ法定相続人以外の人が遺産を受け取ることはできません。生前お世話になった人や、施設や団体に遺産をあげたい人は遺言書を作っておきましょう。

いかがでしょうか。チェックの入らなかった人は、ほとんどいらっしゃらなかったのではないでしょうか。
じつは、“遺言書が無くても大丈夫な人”は、実は意外と少ないものなのです。

遺言書は無関係なものでは決してありません。相続対策の一つとしてしっかり準備しておきましょう。

遺言書について少し考えてみるか、と思われたら・・・

しかしここで注意しなければならないのが、“遺言をただ書き記しただけでは遺言書にはならない”ということです。冒頭にも書き記した通り、“法的効力”を持たせて初めて遺言書が有効になります。そのために民法によっていろいろな決まりごとがあり、法律の形式に従って正しく作成しなければ、その遺言は無効になってしまうこともあるのです。
遺言書を作成してもそれが有効にならなければ元も子もありません。もし「遺言書を作成したいけれど、何から始めていいかわからない…」と思われた時は小林工務店にご相談ください。当社は、財産管理の全国ネットワークである「株式会社 財産ドック」の「京都上京センター」としての機能も有しており、司法書士、税理士、弁護士との連携を図りながら、皆様からのご相談にワンストップでお応えすることが可能です。

また、当社では毎月第3土曜日に不動産勉強会を開催中。
8月20日には「不動産勉強会~親子で学ぶ相続対策~」と題して、冒頭でもご紹介した『LIXIL不動産ショップオーナーアカデミー2022/不動産オーナーが知って得をする “失敗事例”から学ぶ相続相談』 の第3回目「不動産オーナーの為の相続相談」を開催いたします。
申し込み方法他、詳細についてはこちらのお知らせページ「8月度 不動産勉強会~親子で学ぶ相続対策~」をご覧ください。
不動産などの相続の仕組みは慣れない人にとっては複雑です。そのため、広範囲の方を対象にしている書籍やインターネットの情報では、自分がどのケースに該当するかも理解しづらかったりします。その点、当社の勉強会では、「親の老後の面倒を見てくれる兄弟に家を譲りたいが、どのようにしたらいいのか?」「相続対策をすすめたいが、まず何から取り組んだらいいのか?」など、参加された方の実情をベースにお話できますので、具体的でとてもわかりやすいとご好評をいただいております。ご興味ご関心のある方はお誘いあわせの上、奮ってご参加ください。

皆様のご参加をお待ちいたしております。


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