改正建築物省エネ法の説明義務制度について知っておこう
■義務化された建物の省エネ性能についての説明
すまいづくりを進める一連の流れにおいては、「間取りプラン」「外観デザイン」「内装仕上げ」「設置する住宅設備」など、さまざまな提案や説明を住宅会社から受けることになります。これらのたくさんの説明のひとつに、建築士から説明する「建物の省エネ性能についての説明」があります。
これは、平成31年5月に公布された改正建築物省エネ法の、「設計の委託を受けた際、建築士は設計する建物が省エネルギー基準に適合しているかどうかを建築主に説明しなければならない」という令和3年4月からの義務化にもとづくものです。設計する建物の省エネルギー基準の適否や適合しない場合の省エネ性能確保のための措置について、建築主に説明を行う必要があります。なお、説明義務制度は、300平方メートル未満の住宅・建築物であれば対象となるため、一般的な住宅は基本的に説明義務があるということになります。
■義務化の背景
この制度の狙いは、建築士から建築主に対する説明を通じて、建築主の省エネに対する理解を促すとともに、自らが使用する建物の省エネ性能を高めようという気持ちをもってもらうことを狙いとしたものです。
説明が必要な事項としては、以下の4点があります。
①建築主の省エネに対する意識の向上につなげるための情報提供
②建築主への省エネに関する評価や説明の要否、計画している建物の省エネ基準への適否
③設計を行う住宅及び建築物の省エネ性能の評価
④建築主への評価結果の説明
①では、なぜ今省エネについて考える必要があるのか、住宅の省エネ性能を高めることでどのような効果が得られるのかをお伝えします。
②では、その後の設計に関わるため、実際に計画されるすまいに太陽光発電設備を設置するか否か、建物の断熱性を高めるか否かなどのヒアリングを行います。
③及び④では、設計を行った建物の性能を専用のソフトを使用して調べ、お客様に説明します。
全体としてはこのような流れになりますが、少し難しいですね。
国土交通省のホームページでは、上記の内容をわかりやすくマンガにしたパンフレットのPDFを公開していますので、参考にしていただけると思います。
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国土交通省「ご注文は省エネ住宅ですか?」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/setsumeigimumanga.pdf
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■わかりやすくお伝えすることを心がける
しかし、省エネ性能や断熱性能について、文章や口頭のみでお伝えしてもご理解いただくことは難しいものです。そのため、弊社では説明の際に、下記の国立研究開発法人建築研究所のエネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)や株式会社インテグラルの「ホームズ君」、LIXILの省エネ住宅シミュレーションなどを利用して、予備知識がなくてもご理解をいただけるように、できるだけわかりやすくお伝えすることを心がけています。
下の画像はエネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)の計算結果の一部になります。これは外皮性能や換気方式、冷暖房機器のエネルギー消費効率など住宅設備に関する情報を入力することで、設計した建物の一次エネルギー消費量を計算してくれるプログラムです。
エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)
https://house.app.lowenergy.jp/#/select
下の画像はホームズ君の「絵でみる省エネ診断書」の診断結果の事例になります。CADで入力されたプランから、計画している建物の断熱性能や年間の冷暖房費のシミュレーションを行うことができます。プラン変更にもすばやく対応できるため、異なるプランでの断熱性能を比較ができるほか、年間の冷暖房費のシミュレーションも行うことができます。
また、外皮性能、一次エネルギー消費量、ゼロエネルギー住宅、各省エネ関連基準への適合状況、ランニングコストなどについては、「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」でも診断が可能です。下の画像はその資料の一部になります。「ホームズ君」と同じく、図表を使って分かりやすく表示されます。
■ご納得いくまで話し合ってください
すまいを省エネ化するために断熱性能を高めたり、省エネ・創エネ設備を導入することで、暮らし心地は快適になり光熱費も抑えることができます。しかし、その反面、仕様のレベルアップや設備購入によって初期費用が高くなってしまうことは否めません。だからこそ、弊社にいらっしゃるお客様には断熱性能や省エネ性能についてどこを目標とするかを建築士と話し合い、ご納得いただいてからすまいづくりを進めていただきたいと考えております。
また、お客さまには、「建物の省エネ性能についての説明」を、きちんとわかりやすく伝えることができ、また質問に対しては丁寧に答えてくれる住宅会社とすまいづくりをされることをおすすめしたいと考えています。