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「不動産の共有」はお得?それともトラブルの火種? メリットとデメリットについて考える

当社では、毎月一回、周辺の空地・空き家調査を実施しています。空地や空き家の放置はさまざまなトラブルの原因になるためです(具体的には、以前のブログ「相続した空き家、そのまま放置していませんか?」をご参考ください)。そして、「トラブルを未然に防ぐために、何かお役に立てることがあれば!」という思いを込めて、所有者の方々にご案内をお送りいたしおります。
先日も、空家と思しき建物が見つかりました。さっそく登記簿で所有者を調べたところ、3人の方が1/3ずつ「共有名義」で所有していることが分かりましたので、挨拶状をそれぞれの住所に送らせていただきました。数日後、その中のおひとりの分が“宛所不明”ということで戻ってきてしまいました。
今回に限らず、挨拶状が宛所不明で返ってくるケースは時々あります。登記されている情報を元に発送しているので、実際には所在も明らかで、共有名義人同士で連絡も取り合えているのかもしれません。しかし、もしこの方と連絡が取れなくなっているとしたら、共有名義の不動産の場合、仮に売却しようとしても、共有者全員の同意が得られなければそれができません。また、相続の際にも遺産を分割することができず、その対応をめぐるトラブルへと繋がる可能性があります。
相続財産が現金だけなら、分割が容易なのでトラブルは解決しやすいのですが、分割しにくい「不動産」は、相続でもっともトラブルになり易いのです。
(ブログ「「相続」が「争族」にならないために ~遺言書のすゝめ~」参照)

とはいえ、年収や資産から考えて“共有名義にしなければ不動産を購入することができない”から共有名義にするというパターンの人も多いと思います。
そこで、今回は不動産の共有名義についてそのメリットとデメリットを改めて確認し、その選択の際の参考にしていただきたいと考えております。

「単独名義」と「共有名義」とは?

不動産を購入した場合や遺産を相続した場合、その名義の登記については「単独名義」と「共有名義」の2種類の方法があります。
「単独名義」とは…
 単独名義とは、文字通り購入した人1人の名義で登記することです。例えば、夫の名義で住宅ローンを組んで購入した場合、その不動産の登記名義は夫の単独名義で登記されます。
「共有名義」とは…
 これに対し共有名義とは、1つの不動産を購入する際に共同で出資して購入した場合に、その出資した割合に応じた持ち分で登記することを言います。例えば、5,000万円のマンションを夫2,500万円、妻2,500万円それぞれお金を出し合って購入した場合、それぞれ2分の1の持ち分で共有名義とします。

※ 共有する場合のお互いの持ち分の割合は、「その物件を購入するために支出した資金の割合」で決めます。仮に資金を支出していないのに、共有名義にしたり、支出した金額以上の割合の共有持分で登記してしまったりすると「贈与」とみなされる場合があるので注意が必要です。不動産を共有名義で登記する場合は、実際に購入資金を負担した割合に応じてその持ち分を登記しましょう。

一方、遺産相続の場合は、基本的に不動産はすべての法定相続人による共有名義となります。共有持分割合は法定相続分に従います。たとえば配偶者と2人の子どもが不動産を相続したケースでは、配偶者が2分の1、子ども達がそれぞれ4分の1ずつの共有持分を取得して不動産を共有します。。

共有名義のメリットとデメリットとは

それでは、不動産を共有名義で登記した場合のメリットとデメリットは何でしょうか。
まずは、どのような”メリット”があるのか見てみましょう。
〇 住宅ローン控除が夫婦それぞれ受けられる
 例えば、夫婦でマイホームを購入した場合、共有名義で登記をすると夫婦それぞれの収入に対して「住宅ローン控除」の適用を受けることができます。

※「住宅ローン控除」とは、住宅ローンの年末残高の0.7%が所得税と住民税から減税される制度です。
控除期間は、新築住宅は原則13年間、中古住宅は10年間となります。夫婦が共働きの場合に共有名義にすると、夫と妻それぞれの所得税、住民税に対して住宅ローン控除が使えるため、単独名義の時に比べると、より減税額が多くなります。

〇 相続税の節税になる
 例えば、単独名義である夫が将来死亡して相続が発生した場合、その不動産の評価額がそのまま課税対象となりますが、共有名義の場合は、夫の持ち分に応じた部分のみが課税対象財産のため、単独名義の時よりも相続税が節税できます。

なるほど!ローン控除や節税につながるのは嬉しいですね。
では、共有名義にすることで生じる”デメリット”は何でしょうか。
✕ 売却がしにくくなる
 冒頭でもお伝えしたように、共有名義の不動産を売却するためには、共有者全員の同意が必要です。例えば「離婚」した際の「財産分与」の時、仮に夫がマイホームの売却を希望したとしても、共有名義人である妻が売却を拒否して住み続けることを主張した場合、事実上売ることはできません。また、どちらか一方の単独名義に変更する場合は、金融機関への連絡と承諾が必要です。当初2人で分けて組んでいた住宅ローンを、一人で負担することにもなりかねません。
✕ 相続が発生すると、所有者が増えていき複雑になる
共有名義人の一方が死亡して相続が発生した場合、共有名義人の相続人が複数いると、当初2人の共有名義だったのが、3人、4人とどんどん増えていく可能性があります。不動産の共有者が増えると、増改築や売却をする際などに共有者全員の足並みがそろわなくなる恐れがあり、相続争いへと発展する危険性を含んでいるので注意が必要です。

また、共有名義のデメリットに関して、当社が加盟している「財産ドック」の毎月のレポートに気になる記事がありました。
以下に引用させていただきます。

共有でもっとも厄介なのは、所有権者の1人が単独で持ち分不動産を第三者へ売却してしまうことです。
近年は「持ち分買います」と謳う相続不動産買取専門の不動産業者も増えています。
業者は足元を見て安値でしか買い取りませんし、買取後は共有状態を解消するため、ほかの所有権者に対し高値で買い戻すよう迫ってくるか、またはそれぞれの持ち分を安く売り渡すよう要求してきます。
 身内同士でも難しい共有状態に、第三者が入ってきたら・・・

未だに「共有なら揉め事もなく円満におさまる」と思い込んでいる方々はお気を付けください。
一見、円満に見える「共有」。その裏には未来への地雷が隠れています。

(『知って得する REPORT №42』より)

脅かすわけではないのですが、このような実情があることも知っておかなければなりません。

土地の共有名義の解消したい…その方法とは

ここまでお伝えしてきたように、不動産を共有名義とすると、住宅ローン控除など一定のメリット(=短期的なメリット)もありますが、その反面、共有名義にしたことによってデメリットも発生します。単に税制上のメリットだけを理由に共有名義で登記すると、将来不動産を処分しなければならなくなった際に、その処遇について意見がまとまらず、トラブルの原因となる可能性があります(=長期的なデメリット)。
そのため、次世代への禍根を残さないためにも、自分たちの代で不動産の共有は解消すべきかもしれません。

では、共有名義以外で相続するにはどのような方法があるのでしょうか。
それは、「現物分割」・「換価分割」・「代償分割」の3つの分割方法です。
「現物分割」
 現物分割とは、被相続人の現金や車、マンションなどの財産を現物でそれぞれの相続人に分ける分割方法です。不動産を単独所有とできるメリットがありますが、法定相続分で分けることが難しいというデメリットがあります。
「換価分割」
 換価分割とは、不動産などを売却して、売却で得た現金を分割する方法です。
現金にするため、法定相続分で分けることができるメリットがありますが、先祖から引き継いだ不動産を失うというデメリットがあります。
「代償分割」
 代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続したことで、不公平が生じた場合、その相続人が他の相続人にお金(代償金)を支払うことで調整する分割方法です。代償分割は、商売をしている家系で、例えば長男がどうしてもその不動産を営業上引き継がなければいけないときに使うことがあります。特定の方に不動産を引き継げるメリットがありますが、引き継ぐ方が代償金を支払うため、経済的な負担が重いということがデメリットです。

このように、相続では、共有以外にも様々な分割方法があります。自分たちにあった分割方法を採用し、共有はなるべく避けることを目指しましょう。

不動産の名義について相談したい…その時は

いかがでしょうか。今回は「不動産の共有名義」についてお話して参りました。
不動産は相続すると、法定相続分で共有状態となります。共有は、短期的には「平等である」、「費用が発生しない」、「手間がかからない」といったメリットがありますが、一方で、長期的には、「雪だるま式に共有者が増える」、「管理がしにくくなる」、「売却しにくくなる」といったデメリットが顕在化していきます。
共有の放置は問題の先送りに過ぎないので、できることなら、現物分割や換価分割等によって共有を回避するようにしましょう。

このブログをお読みになって、「不動産の名義はどちらにしたらいいのか・・・」、「共有名義についてもう少し考えたい・・・」と思われた時は小林工務店にご相談ください。
当社は、財産管理の全国ネットワークである「株式会社 財産ドック」の「京都上京センター」としての機能も有しており、司法書士、税理士、弁護士との連携を図りながら、皆様からのご相談にワンストップでお応えすることが可能です。
ご相談は無料で承っていますので、まずはご連絡ください。

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